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踊るブート法師(試運転中)
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KISS / UNNECESSARY EVIL[1CD]
DEEP RECORDS / MIK-018

01 Detroit Rock City
02 King Of The Night Time World
03 Let Me Go, Rock And Roll
04 Strutter
05 Hotter Than Hell
06 Nothin' To Lose
07 Cold Gin
08 Guitar Solo
09 Shout It Out Loud
10 Do You Love Me
11 Bass Solo
12 God Of Thunder 1
13 Drums Solo
14 God Of Thunder 2
15 Rock And Roll All Nite
16 Deuce
17 Firehouse
18 Black Diamond

Anaheim Stadium, California, USA / Aug. 20, 1976

  

記念すべきマイ・ファースト・ブートレッグは何かと言えば、アナログ時代の名ブート、KISSの『DESTROYS ANAHEIM』でした(写真↑左、IDLE MIND PRODUCTIONS / IMP-1120)。ビクター時代のファンクラブ会報「C'MON」誌上で青柳つとむ氏が熱い現地レポートを綴っていた“アナハイム・スタジアム公演”の音が聴けると知り、初来日の熱気も冷めやらぬ1977年の夏休みに、広告が載っている『音楽専科 スーパー・アイドル特集号』を握りしめて千葉からKinnieへ買い出しに出掛けたんですね。30年も昔のことですが、あの日の西新宿の情景は今でもはっきりと覚えています。店内に並んだ見知らぬアルバムの数々に圧倒され、「ああ、こんな世界もあったのか……」と溜息をつくばかり。広告を見ると、当時販売されていたKISSブートはたったの4タイトルだったようですが、中学坊主に複数枚を買う余裕などなく、浮気心を押さえて目的の『DESTROYS ANAHEIM』のみを購入。「隠し録りだから音は悪いらしいぞ」というウワサを耳にしていたので、「電車賃とレコード代ですっかり今月の小遣いを使ってしまったわ。もし聴くに耐えなかったらどうしましょう……」と小さな胸をドキドキさせながらおウチに帰り、恐る恐るターンテーブルに針を下ろしたのですが、これがまぁカッコいいったらなかったワケですよ。『ALIVE!』とはまるで感触の異なる、リアルなKISSライヴにすっかりノックアウトされ、そこからはズブズブとブートの沼にハマってしまったんですね。さて、そんな思い出の逸品『DESTROYS ANAHEIM』をCD化したものが、この『UNNECESSARY EVIL』です。セットリストから収録曲をセレクトしコンパクトにまとめられていた『DESTROYS ANAHEIM』と、選に漏れた残りの曲で追加リリースされた『DESTROYS ANAHEIM PART 2』(写真↑中、IDLE MIND PRODUCTIONS / IMP-1122)を当日のセットリスト通りに再構築。盤起こしなのでトレースノイズが気になったりもしますが、伝説の“アナハイム・スタジアム公演”を手軽に楽しめる1枚としての価値は十分にあるでしょう。“アナハイム・スタジアム公演”にはサウンドボード音源のプロショット・ビデオも存在しますが、当日の熱気やKISSのパワーは、オーディエンス録音のこのブートの方が何倍も生々しく伝えてくれます。 でも、どうせならジャケットもオリジナルのスリックを再現してほしかったですねぇ。裏はともかく、『KISS COMICS』を基にしたらしき表ジャケには、センスの欠片も感じられません。ただ、当時『DESTROYS ANAHEIM PART 2』のコピーブートとして極少数が出回った『UNNECESSARY EVIL』 (写真↑右、WIZARDO RECORDS /WRMB-508)をタイトルに持ってきたあたりは、なかなかの洒落っ気と言えるかもしれません。この日がKISS史上初のスタジアム公演であり、のちに“全米を代表するライヴバンド”と呼ばれるひとつの節目になったことを考えれば、この音源の持つ一種異様な緊迫感にも納得がいきます。5万人規模という経験したことのない大観衆を前に、KISS自身もかなりテンパっていたようで、歌詞を間違えることには定評のある(笑)ジーンはもちろんのこと、ポールまでもが“Do You Love Me”で歌ミスを披露。そんなスリリングな一面の他にも、観客に注意を促す開演前アナウンスや、妙にテンポアップした“Deuce”、ポールのMCとエースのギターが掛け合いで場を盛り上げる“Firehouse”など、“アナハイム・スタジアム公演”音源ならではの聴きどころが満載です。

【AUD音質:★★★】
【アートワーク:★】
【音源の歴史的価値:★★★★★】
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